本日の日経平均は、米国市場同様に今夜のパウエルFRB議長の議会証言を前に様子見姿勢となり、-31円安・21,553円で引けた。
大引け3分前に大口の売りによって日経平均が50円雪崩落ちしており、高く引けては困る筋の売りだろう。5分足の出来高も通例の2倍近くまで膨らんでおり、後述のテクニカルとともに従来から記しているとおり、目先下落を示唆していると見ている。
先物・オプション手口(JPXデータを集計、日中・夜間・立ち会い外を含む)
本日のABNのオプション手口では、引き続きSQ前の持ち高調整を行っている。コールサイドでは、建玉構成について21,250円~21,500円をショートコールとし、21,125円から下をロングコールとしている。
一方、プットサイドでは21,375円から下(21,000円を除く)をロングプットでまとめている。特に21,375円から21,250円については1,000枚を超える大口建玉となっている。
これらのことから、現時点ではSQ値を21,500円以下で決めたい意向が見える。もう少し絞り込むと、ショートコールの配置化からして21,250円~21,200円が最も大きな利益が出るように組み立てていると思われる。
先物についてはABNは本日536枚を買い越し、建玉は8,105枚買い越しである。そのうち7月限は3,223枚買い越し(ラージ換算)とやや多い。
Cスイスは本日、先物を-792枚売り越し、建玉を-8,272枚と売り越幅を広げている。ただし、そのほとんどが9月限及び12月限であり、7月限での勝負には来ていない。
なお、目立ったのは野村證券の手口であるが、先物を8,193枚と大口買い越し、建玉は113,973枚となった。環境的には買い戻す理由が見当たらないため、ETFの分配金捻出のための買い戻しなのかもしれない。
今後の予想
パウエル議長証言については、従来の見解に対して踏み込んだ発言がされるとは思われないことから特段材料視されることはないと見ており、金利引き下げについては今月末のFOMCに期待が引き継がれるだろう。したがって、目先は直近の需給に従った動きになると思われ、ダウについては3日続落ながら下落幅はそれほど大きくないことから下落が相応だろうと思っていたところ、19:40現在のダウ先物は-82ドル安で推移している。
5日線は前日の引け値で上向きから中立に変化しており、本日のダウが下落すれば下方転換、上昇すれば引き続き上向き維持となる分岐点にある。
昨日の終値段階でもダウの価格は5日線の下方にあり、MACDも下向きとなっていることから、5日線の流れとしてはいったん下向きに変化するのが自然の成り行きと考える。
ただ、下方には上昇する25日線がサポートとして待ち構えていることから、どこまでも落ちていく下落にはならないと見ている。
したがって、パウエル議長証言が材料出尽くしとなり、いったん休息し需給を整えるのが妥当と見ており、利益確定を交えて25日線近くまで調整すると予想している。
(25日線は、昨日の終値から約400ドル下方にあるが、上昇中のため、今週末には約258ドル下方までせり上がってくる。価格では26,525であり、仮に今夜・明晩と下落したとすれば25日線ももう少し下方に移動するが、サポートとしては26,500ドル~26,600ドルだろう)
為替についても、ここからドルを積極的に買う理由が希薄になり、いったん利益確定となりやすい。
日本株にとって最も都合が良いのは、週内調整し、東京休場の月曜のダウは十字足となり、翌火曜から上昇して参議院選の安部首相をサポートするという形だが、果たして都合良く行くかどうか。
予想が的中するなら、日経平均は金曜のSQで底打ちし、早ければ後場から上昇すると予想している。
価格帯については、7/1窓埋めと25日線の水準が21,300円前後で重なっており、値頃・日柄的にも下値メドとして有力であるが、リスクシナリオとして、来週半ばまで下げが続いた場合は21,100円処までの下落もあり得る。
なお、昨日追記したとおり、7/11(木)の引け後、つまり7月限取引終了後にファーストリテの決算発表が予定されており、SQ値算出となる金曜日の寄り付きでは強引なパワープレイとなる可能性があり、上下どちらかは決算次第だが「幻のSQ」となる可能性がある。
直近6月の売上高は感謝祭の前倒しにより前年同月比27.3%増と好調であったが、3Qについては前年同月比並みとなっており、3Q決算については微妙で予断を許さない数字になってくると思われる。
仮に3Qが悪くても、通期予想は変更なしまたは上方修正と筆者は予想している。
なお、今夜のダウについては下値メドから想定して、下げても-100ドル以内と考えている。
※22:50追記
パウエル議長証言のテキスト発表によりダウ先物が安値から200ドル上昇し、取引開始後の初動でも高値を維持、現時刻26,950ドルで5日線を67ドル上回っている。
市場想定よりもハト派と受け取られた模様。ロイター電が伝える発言内容は、
通商政策を巡る不安や弱い世界経済が「引き続き米景気見通しの重し」という認識を示し、景気拡大下支えに向け「適切に行動する」用意があると言明した。ダウは寄り天を想定したが、寄り付き後も上げ幅を拡大しており、このまま大幅上昇で引ける可能性が出ている。明日の東京市場はSQ最終取引日であるため、日経平均はボラタイルな値動きが想定される。
なお、日経平均先物60分足に陽転の兆しが出てきたが、DAX指数(昨日、7/1の窓埋めが完了し調整が進んでいる)の60分足は陽転には遠く、判断は明朝まで様子見。ただ、筆者想定より下値メドが切り上がってくる可能性は高い。
※23:15追記
今夜のダウの焦点は90ドル高~で終えることができるか? 90ドル高が5日線維持であるとともに、偶然にも本日の寄り付き値であり、陽線で引けるかどうかの試験紙となる。
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