2019-07-27

先物・オプション手口の集計(準備編)・新様式対応版:2021.9月

※2023.11.6よりJPXの開示方法が変更されたため当手法での集計ができなくなりました。


※2021.9.21公表分より、JPXの公表データ様式が変更されました。
 よって、今回の新データ様式への対応部分を追記しました。(赤字が追記部分)


昨年(2018年)の秋以降、チャート分析が機能しにくい相場が続いている。

 
依然に増して日本の株式市場において現物を所有する妙味が薄れ(リスクが増大し)、先物・オプションを大きく動かして利益を得る先物主導の相場に移行しているからだと思われる。
 
現物主導であればチャート上の節目を拾って見ていけば、ある程度の成果が得られるが、先物主導の場合、一気呵成の売り仕掛けや買い仕掛けが中期にわたって継続し、思わぬ安値や高値が示現することになる。
 
(これは余談であるが、日経平均が22,000円でもみ合っている頃、某国内大手証券のチャート分析を用いた動画で解説していたストラテジストが「上下どちらに放れるかわからないが、わかっていることは20,000円は絶対に割らないということです」と自信たっぷりに述べた僅か2ヶ月後に日経平均が2万円を割れ、19,000円さえも割れたことだ)
 
さて、具体的に集計手順について説明していくが、かなり複雑な部分があるため、何回かに分けての分割掲載となる。
 
フォーマットの作成については試行錯誤したため、かなりの時間を費やしたが、フォーマット完成後の日々の集計作業はデータのコピペのみのため、ものの5分もあれば集計が可能であり、Excelの素晴らしさを実感している。

 

1. 手口の集計にあたって準備するもの


・日本取引所(JPX)のwebページ
JPXでは、先物及びオプションの取引参加者別取引高(手口上位一覧)を日々公表しており、PDFとExcelデータが用意されているため、コピペが容易なExcelデータを使用する。


・Excel
Excelの関数を使って必要データを抽出・集計している。一般的な事務では使用しない関数かもしれないが、特に複雑なものではないと思われるためExcelのバージョンは問わないと思う。

 

2.JPXのどのページを見る?


日々の取引参加者別取引高については、以下の階層となっている。JPXのトップページからでも、検索からでも容易に見つけられるだろう。(以下にリンク)

トップページ > マーケット情報 > 先物・オプション関連  > 取引参加者別取引高(手口上位一覧)


(従来)


(2021.9.21以降)


日付別に、「ナイト・セッション」・「日中取引」に分かれ、その中に「立会取引」と「J-NET取引」があり、計4ファイルにアップされている。

2021.9.21以降については、PDFファイルが割愛され、エクセルファイルのみとなった。

アップロード時刻は概ね16:30頃とされている。


3.Excelの事前準備

JPXの公表データはExcelにてそのまま活用できる状態にないため、利用者側で一部加工が必要となる。

 

3-1 どのような加工が必要か?

(従来)・・・ 記録のため従来分を残していますが、2021.9.21以降をご覧になる方は、次の赤字部分に進んでください。

JPXのデータは次のとおり掲載されている。先物の次にはオプションPUT、CALLが権利行使価格別に掲載されているため500行~600行となっている。(向かって左が「売り」、右が「買い」となっている。PDFには売り買い別が記載されている)

データの抽出及び集計で苦労するのは、取引参加者と枚数は同一行に掲載されているが、商品名(先物・オプションの別や権利行使価格別)が上部に掲載されているのみで、取引参加者と枚数と同一行に掲載されていないことだ。

また、取引が活発な先物ラージについては20社が掲載されているが、オプションについては20社未満のケースが多く、また、取引日によって参加者数が異なり規則的な配置になっていないため、「商品名から〇行を抽出」といった画一的な算式では対応できないところが難しい。

(2021.9.21以降

従前では、商品名「FUT_TOPIX_2112等」)が取引参加者と取引高が同一行に掲載されていないため、下記の処理を行う必要があったが、新様式では同一行に記載されているため利便性が高まった。

 (全体図)

また、商品名が独特の略称仕様から、商品名を推測しやすい名称に変更されたため、わかりやすくなった。(ただ、筆者のようにエクセルでの自動処理を行っていた者は算式やシステム改修の必要が生じた)

なお、今回の様式変更により、次項「3-2 どのように改良したか?に示した商品名「FUT_TOPIX_2112等」)と取引参加者・取引高を同一行に配置しなおす作業が不要となり、個人投資家の集計ハードルは下がったと言える。

この後の処理については、(分類、銘柄コード、順位など、集計に不要な部分を削除し、商品名・証券会社・取引高の3列のみにするなど表を簡略し)、集計の元となるデータベースを作成する。

次に、このデータベースから任意の社の手口(前日の夜間+当日の日中取引の立会・立会外別)を抽出・集計する方法を紹介する。

先物・オプション手口の集計(データの抽出・集計方法)に続く →こちら




3-2 どのように改良したか?


Excelでは、同一行にデータがあれば抽出・集計が容易になるため、結論的にはA列とE列に空欄を挿入し、IF関数を用いてA列とE列に使用品名を表示させることにした。

なお、「ナイト・セッション」・「日中取引」・「J-NET取引」と4種類(売り買いで8種類)のデータを一覧で集計するのが便利であるため、あらかじめ集計用のExcelファイルのフォーマットを作成し、該当部分にJPXのデータをコピペしている。

筆者の集計用のワークシートは次のとおりである。(表が大きいため、日中・立会取引のみ掲載、表は次に「day/J-net」、「night/立会」、「night/J-net」と続いている

黄色の網掛け部分に数式を入れてあり、商品名と参加者名、枚数が同一行に表示される。

作業としては、JPXの該当のデータ(日中・立会・買いであればA列~D列)を範囲指定し、クリップボードにコピーし、あらかじめ作成しておいた作業用シートの該当部分(日中・立会・買いであればB列~E列)にペーストすれば、A列に商品名が表示される。


なお、筆者の算式(A6列)は次のとおりである。

=IF(B5="Instrument",C5,IF(B5="","",A5))

A7列以降については、算式中の行数字が一つずつ下りていく。

「日中・立会・買い」のコピペが終わったら、次に「日中・立会・売り」、「日中・立会外・買い」・・・と続けていく。

これにより、その取引日(前日の夜間+当日の日中取引)の各社別の取引手口を抽出するためのデータベースができあがる。

次回、このデータベースから任意の社の手口(前日の夜間+当日の日中取引の立会・立会外別)を抽出・集計する方法を紹介する。


※先物・オプション手口の集計(データの抽出・集計方法)に続く →こちら
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