昨年の正月を思い出す急騰
そう遠い昔の話ではない。8月の日経平均が2万円台前半をうろついていた時には2万円割れを危惧する声が多かったが、22,000円を一時上抜く急騰となった今週末には、目標23,000円といった威勢の良いかけ声が目立つようになった。たしかに、7営業日で簡単には抜けないと見られていた節目の数々を一気に抜き、1,500円に迫る上昇を果たした日経平均の強さには驚く。
ただ、「急落で悲観、急騰で楽観」は証券界の習わしでもある。
今でも記憶に生々しいのは、2018年の1/4大発会で741円高、翌日は208円高、翌々日は135円高と僅か3営業日で1,000円を超えて23,849.99まで上昇したとき、証券界はこう言った。
「大発会で大きく上昇した年の日経平均は上がる。統計的にも明らか」と、過去の年表を掲げて、いかに今年の日経平均が大きく上昇するかを声高らかに喧伝していた。
実際はどうだったか、3月末までの3ヶ月間で3,000円急落し、年末の12/26には19,000円割れを示現、日経平均は1月高値から5,500円下落した。
今回、同じことが起きるとも思わないが、少なくとも目先の高値はスルーの姿勢が正しいと見ている。
9月下旬の日経平均予想
さて、今後の日経平均予想であるが、足元では1570日経レバの空売り増加に見られるとおり、急激に売りが積まれており、いったんはこれらの売りを踏み上げさせる買いが継続すると見る。
一方、日経レバの大幅な売り長や高額な逆日歩を見て、逆日歩狙いの買いも増えてくると予想される。
「逆日歩に買いなし」との相場格言があるとおり、踏み上げの買いは売り残が減少するため、信用需給は一気に悪化することが予想されるため、この場面での買いは慎重であったほうが良いと思われる。
一昨日記したとおり、オシレーター系指標は買われすぎ圏に入っており、FOMCを受けた米国市場の動向が読みづらいため、確度の高い情報をお持ちの方以外の参加リスクは大きいと見ている。
筆者の相場観では、それなりの大きさの押しに入るとの見立てには変更はない。
ただ、先週は一時22.000円にタッチし、今週はさらに一段高が想定されることに加えて、一部メディアからは11月解散-12月総選挙の観測報が出ていることから、先週半ばに記した8月の安値膠着レンジまでの下落は遠のいたと見ている。
安倍総理が内閣改造後の会見で改憲への強い意欲を示しており、改憲に対して消極的な公明党を除いた改憲勢力での3分の2を目指した総選挙を年内にも行う可能性は否定できない。
また、消費増税による景気の落ち込みを防ぐ大幅な財政出動の必要性が以前から叫ばれており、総選挙の大義名分にもなりやすいことから、11月解散-12月総選挙の可能性はけっして低くはないと見ている。
これらのことから、補正予算での大幅な財政出動を念頭におけば、押しは直近上昇幅に対するセオリーどおりの値幅に収まることが想定され、想定どおりに総選挙が行われるならば、押し目からの上昇幅はかなり大きくなると予想する。
なお、今週の日銀会合は「現状維持」を予想する。仮に緩和の一手を打つとしても当たり障りのない手であり、マイナス金利の深掘り等は行わないと見ている。
仮に、これらの次なる一手を繰り出すとしたら、総選挙も大規模な財政出動も行われない可能性があり、冬に向けての日経平均の上昇シナリオが崩れるか、高値が限定的となる可能性がある。
今週から来週にかけての日経平均の上下目処については、上値目処は売り方の買い戻しにより22,200円~22,400円(オーバーシュート)。
下値目処は20,800円、割れた場合は9/11窓埋めの21,620円が想定されるが、ここまで押せば来週の配当権利取りに向けたリバウンドがあると予想している。
配当権利落ち後の10月相場については、今月下旬時点での個人の買いが多ければ、今月下旬の推定75日線・21,300円~21,000円までの下落、依然として個人が売りに傾いていれば配当権利落ちを即日埋めての上昇もあり得ると見ており、現時点では状況に応じて方向性を模索する局面と見ている。