3日続落後の週末ということで売り方の向かい戻しが入ったわけだ。
ただ、注目すべきは、トランプ米大統領が「中国との合意は非常に近い」と発言したほか、中国の習主席も「正しい方向に向かって発展させよう」と発言し、米国との通商交渉合意に向けた前向きな姿勢を表明したが、市場は需給要因での反発のみで、両首脳の発言を好材料視しなかったことだ。
既に、言葉だけの「合意は近い」発言は何度も繰り返され、その数日後には「協議は難航」との報道が流されて梯子を外されるなど、市場はこの種の観測発言には辟易している。
また、米中交渉はそう易々とまとまるほど簡単なものではないこともわかっており、「第一段階の合意」はトランプ大統領の体面を取り繕う中身の乏しい形骸的な内容にならざるを得ないことに市場は気づいていると思われる。
既に12/15の追加関税発動については延期観測が流れていることも、今回の合意内容が踏み込んだものにはならないと市場が予想している証と思われる。
したがって、米中通商協議の合意により雲が晴れるかのような期待感を抱いていた市場は、この話題からは少し距離を置き始めるだろう。
ただ、形骸的な合意さえ整わなかった場合は一気に市場の失望を買うであろう。ゆえに、何らかの形で合意署名が行われることは既に織り込み済みと見ている。
さて、ダウ日足チャートでは、昨日の上昇も引き続き5日線に頭を抑えられる展開が継続している。
また、11/19の下落(陰線)が大きい割にその後の反発力が鈍く、下ヒゲが続いているが、出来高は減少傾向にあり、買い向かっているというより、売り方の買い戻しでの下げ渋りに見える。
この後、大きめの陽線を立てて5日線を上抜く展開となればチャートにも力強さが戻ってくるが、来週の米国市場は木曜休場・金曜短縮取引となるため立会日数が少なく、積極的なポジションを取りに来ることは考えにくく、良くて「もみ合い」、悪ければズルズルと売られる展開も想定される。
チャートに図示した下値支持線を保つことができれば、12月相場での盛り返しが期待できるが、上昇期間が月末で2ヶ月と程良い長さとなっていることに加え、材料難から上を目指す力が弱まれば11/19の28,000ドル乗せが目先の高値と市場参加者が考え、当面の利益を確保する利益確定売りに動くことが考えられる。
したがって、来週のダウ平均はもみ合いを予想し、その後は利益確定売り優勢の相場展開になると見ている。
なお、前回の調整は9/12から10/3までの3週間で約1,600ドル下落しており、今回の天井が11/19と仮定すると12/10に底入れとなるが、日柄・値ごろともにもう少し伸びると予想している。