ゴールドマンの先物売りに警戒感
日々の先物手口で紹介しているとおり、ゴールドマンが5日連続で先物を鬼売り、5日計で約-3万枚の売り越しとなっている。
昨日のブルームバーグ記事「日経平均に割高さ-NT倍率上昇、ゴールドマン先物売りも影響との声」では、本邦の機関投資家によるTOPIX売りではないかと伝えている。
(以下はすべて筆者の推測です)
筆者の推測では、本邦機関投資家からの持ち合い解消売りを依頼されたゴールドマンが先物で売りを前出ししているのではないかと見ている。
通例では、持ち合い解消売りは3月期末に出やすいのだが、24,000円乗せに近づいたことから、この持ち合い解消売りがゴールドマンに持ち込まれ、米国株高で買い優勢になった今週、まず先物で売りヘッジをかけたのではないか?
この推測が正しいとするなら、ゴールドマンは日経平均の動向に大きなアドバンテージを持つことになる。
まず、ブルームバーグの取材記事にあったとおり「市場への配慮」として行っているのであれば、現物売りと同時に空売りした先物を買い戻すことにより、市場はほぼ中立で通過するが、これでは手数料収入しか実入りが生じず、これを元に一芝居打つことにより巨額の利益を見込むことができる可能性が生じる。
つまり、24,000円から一段高となった楽観局面で現物を掃かせ始め、高値での処分に目処が立った時点で残りの現物と新規の先物空売りで相場を崩し、安くなった先物を買い戻しで利益を得るというものだ。
したがって、ゴールドマンは、現物売りの受皿をつくるためにまずは楽観の醸成を手がけると思われることから、日経平均のもう一段、二段の上昇とともに先物手口でゴールドマンがTOPIX先物を買い始め、225現物の出来高が増え始めたら要警戒となる。
なお、足元の売り越しの先物-3万枚の資産価値は概ね7,000億円となり、今後、先物売り越しが止まった時点の評価額が売却予定の現物の持ち高と想定する。
筆者の集計による日々の「先物・オプション手口」についてはこちらで紹介しています。→ こちら
今後の日経平均予想
昨年来高値24,091円を上抜いたことで、(3)-5波入りが濃厚となっている。
ただ、(3)-5波の想定値は24,200円~24,800円と見ており、24,200円から上でエクステンション波動が発生するか否かが焦点となる。
難しくしているのは、ここにきてゴールドマンの先物手口に巨額の売りが出ていることで、単純な先物売りであれば上昇要因になり得ると見ていたが、上述のとおり現物の裏付けがある空売りだとすると少しやっかいなことになる。
筆者としては、24,200円から(3)-5波のエクステンション波動が発生し、25,000円付近まで上昇する可能性を想定していたが、想定値の途上にて上昇が腰折れとなり、修正a-b-c波が発生する可能性が生じている。
また、やっかいなことは、足元で両建て状態にあると推測するゴールドマンはTOPIXが上昇しても含み損益は変わらず、ダウ平均の天井打ちと悪材料の出現を待つことができる点にある。
また、直近の先物手口では個人投資家と思われる日経ダブルインパース等のベア型ETFの買い需要に基づくと思われる野村の空売りに買い戻しが入り始めているとともに、日経レバの信用残を見ても徐々に買いが入り始めているなど、弱気派の撤退と同時に強気派が増え始めている点も警戒領域に近づき始めている気配を感じる。
今後の予想としては、昨年10/5の24,448円高値を上抜いて三尊天井を回避してからの下落をメインシナリオとしているが、先物の不穏な動きからはいつ下落に転じてもおかしくないと見ており、予想どおりに下落に向かう場合は最大で22,500円レベルまでの下落が想定される。
ただ、22,500円レベルまで下落した場合、相場を弱気方向に読んだ本邦投資家を苦しめている含み損を助けることになるため、買い越しの海外勢がそこまで指数の下落を許すかどうかは不明であり、24,500円でいったんの押しが入った場合には通常の急落幅である1,000円下落の23,500円で鞘を納める可能性もあると思われる。
いずれにしても、目先、指数が急伸した場合には急落前の楽観醸成の可能性があり、RSIや騰落レシオ、日足・週足のMACDの位置などの基本的な指標のほかに、先物手口や日経レバ・ダブルインパースの日々の信用残などを注意深く観測していく必要があると見ている。
なお、先物・オプションの筆者集計については引き続き「先物・オプション手口分析」にて紹介する予定。