2020-11-22

日経平均の需給動向分析(11/22)

金曜ナイトの日経先物は、週末のダウ平均が-219ドル安(金曜の東京日中のダウ先物安値とほぼ同価格)となったにもかかわらず、25,700円と金曜・日経平均(現物)終値から+180円高で返っており、日経平均の金曜安値からは+280円高をマークしている。

東京市場の時給動向を知る一つの手段として裁定残高がある。

最低残高の金額ベースは前週分を翌週の公表(週1回)となっているが、株数ベースでは2日遅れで日々公表が行われており日々確認することができる。

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この株数ベースでの最低残高については、日経平均が23,300円~23,700円でのもみ合いが続いた10月は、裁定売り残が概ね680千株~720千株・買い残が190千株~210千株で推移し、日経平均が514円高・24,839円となった11/9においても裁定売り残733千株・買い残182千株と変動は限定的であった。


しかしながら、11/17の日経平均26,000円達成からの反落局面では裁定売り残減少・買い残の増加傾向が見られ、直近の公表値である11/18現在の残高は売り残は592千株まで減少し、買い残は216千株まで戻している。


日経平均が24,000円を超えた水準では、裁定売りの解消と同ペースで高値警戒感から新たな裁定売り増加により裁定売り残に変動は生じなかったものの・買い残は利益確定から減少となり、先週の26,000円到達後の反落局面ではヤレヤレの裁定売りの解消(買い戻し)が進むと同時に・裁定買いの積み増しが見られている。

翻ってみると、昨年12月に日経平均が24,000円をつけた局面での裁定残高は、売り残268千株・買い残300千株と裁定売り残が直近の24,000円超え時の半数程度となっており、直近上昇時の裁定売り残の高さが目を引く。


(昨年12月以降のコロナ急落から3月の底打ちを経て直近までの急騰局面では最低売り残は右肩上がりに上昇している)

なお、足元の反落局面では、これらの売り残の解消が見られるが、依然として売り残の解消余力が高く、同時に買い残が増加していることから買い圧力も増していると見られる。

また、週一回、前週分が公表される投資主体別売買動向においても、海外投資家は11月第1週・第2週に現物・先物合計で約2兆円を買い越したものの、2020年のトータルでは11月第2週までに、現物を約-4.6兆円を売り越し、先物も約-2.4超億円の売り越し、現物・先物合計では約-7兆円を売り越しており、買い戻し余力は大きい。

海外投資家の売買推移(2020年は11月第2週までの合計)

大統領選をきっかけにした日経平均の急騰や直近の日経平均の強さはこれらの需給要因によるものと見られ、依然として買戻し圧力の高さがうかがわれる。。

また、短期的にも明確な悪材料が噴出しない限り、日経平均は上下動しながらも、もうしばらくは上昇が続くと見ている。

ただし、足元の裁定買い残が216千株と昨年12月の300千株に接近していることから、売り残の減少度合いにもよるが、買い残が積まれすぎた場合には短期的な巻き戻しもあり得ると見ており、裁定残高の動向に注意を払っておきたい。

(なお、裁定取引については非常に複雑であり、本稿のように単純に解することはできない側面があることは承知しているが、あくまで傾向として私見を記したものである)

本日、日経平均予想を記すつもりでいたが、需給動向の分析に時間を要してしまったため、日経平均については明日整理する予定である。 

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