注目の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が予想の+60.0万人をやや上回る+63.8万人、失業率が6.9%と前月の7.9%から改善したものの、平均賃金が市場予想を下回るまちまちの結果となった。
ただ、コロナ禍にあっては堅調な雇用ペースを維持したものと受け止められ、米国主要3指数は前日終値を挟んだ小幅の値動きに終始し、週間の大幅上昇に対する利益確定売りは出なかった。
もっとも、値動きが小幅であった背景には、大統領選が稀に見る接戦となっていることから、開票結果を見守ろうとする様子見姿勢もあると思われ、次の展開を静かに見守っていたとも言える。
ダウ平均の1時間足チャートから目先の展開を考察する。
前日及び前々日の株価推移は値を維持したままヨコヨコの展開となっており、MACDは直近の200超からゼロラインまで低下しており、直近2日間の保ち合いによって過熱感が冷まされていることが見て取れる。
目先については、直近上昇の勢いを加味すれば、ゼロラインタッチから再度上をうかがう展開が相応と判断され、次の目標値は9/4高値の28,957ドルが想定される。
ただ、来週初めには大統領選の開票結果がある程度判明されることから、バイデン候補が過半数を獲得し、勝利宣言を行う可能性がある。
これに対する現職のトランプ大統領の対応によっては、先行きの不透明感から、投資家はいったんの利益確定売りを出す可能性があり、この場合、ダウ平均の1時間足MACDはゼロラインでもみ合った後に陰転の可能性があるため、大統領選の開票結果後の株価動向を慎重に見極める必要があると見ている。
なお、ダウ平均の日足チャートと出来高の観点からは、仮に目先、9/4高値の28,957ドルを上抜いたとしても、安定的な上昇には結びつかない可能性がある。
これは何日か前にも当ブログにて指摘していたことであるが、直近大幅上昇時の出来高が細いことに加えて、上昇が進むにつれて出来高が漸減していることから、この上昇は売り方の買い戻しによる側面が強く、実需の買いが乏しいのではないかとの疑念である。
また、日毎の出来高においても、9/4高値の28,957ドルから下落した9/3-4の大陰線及び9/18の十字足での突出した出来高に対して、直近の出来高はこれに匹敵する出来高となっておらず、全体的に過小さが目立っている。
これらのことから、足元の急騰には、9/25-10/12にかけての出来高増加を伴わない上昇とその後の下落(チャート中央)の再現となる懸念を感じている。
したがって、足元の急騰は、昨日も記したとおり、大統領選を材料にした売り仕掛けと買い戻しによる26,000ドル~29,000ドルの仕掛けトレードであり、それも既に最終盤に入っていると見ており、あと一段の上昇または高値圏でのもみ合い後に反落に向かうと予想している。
ただし、この26,000ドル~29,000ドルでは相応の累計出来高となっており、仮に筆者想定どおり下げたとしても最大限で26,000ドルの全値押しで、実際のところ半値押し~三分の二押しでは下値堅さがあると見ている。