※2/22 18:20 追記更新
※21:00、22:40追記あり
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※「目先の米国株及び日経平均予想」については、昨日アップしています。
国内勢による日本株売り活発化
先週木曜に2月第2週の投資主体別売買動向が公表された。
先週に続き国内勢の売りが止まらず、国内勢による日本株売りの傾向が顕著になっている。
下表は筆者が重要と見ている投資主体を抜粋したものであるが、個人現金・信託銀行(年金基金)・投信の順に売りが目立っており、2月第1週+第2週の合計で上記国内勢が約1.3兆円を売り越し、海外勢がこの売りを吸収している。
なお、2月第2週は29,635円で始まり29,520円で引け、週間では497円上昇した週であるが、特記すべきは2月第1週に比べ第2週の海外勢の買い越し幅が減少していることだ。
そして、投資主体別売買動向が公表された2/18(木)の翌日、日経平均が一時-500円に迫る急落となったことも無関係ではなかったと見ている。
また、2月第2週の日経平均が30,714円高値をつけた週に個人信用が1,657億円を買い越していることも気になる。
元々、2月~3月にかけては決算のドレッシングのために持ち合い解消売りが出やすい時期であることに加え、日経平均の3万円乗せによって利益確定売りや、ヤレヤレ売りが出やすい環境となっている。
このほか、かねて紹介しているとおり、年金基金(GPIF)の株式保有比率が上限に達していることから株式保有比率を下げ、年金財源の健全化のためにも次の買い場に備える枠を創出したいところだろう。
今は国策に従え
また、先週から日銀のETF買い入れ基準が引き下げられているのも、日経平均3万円は高値圏であることの表明であり、年金基金の買い場をつくるためと見るのも、それほど穿った見方ではないと思われる。
この国内勢による日本株売りは3月中旬まで続くと見ており、2月第2週には肌感覚から様子が違うと静観していた海外勢も投資主体別売買動向や日銀ETF買い入れ基準の変更を見て、売り方に回る可能性があると見ている。
また、国内個人は押し目買いに回る傾向があり、先物手口においても週末急落時はSBI証券や楽天証券など個人投資家比率が高いと思われる国内証券の買い越しが目立っていた。
2月第3週の投資主体別売買動向は2/25に公表されるが、ここで海外勢売り越し・個人信用が買いに回る兆しが出ていたとしたら、かなり危険な環境に近づいていることになる。
なお、筆者の先物手口の日々集計をまとめた海外投資家の2/15週の週間手口は前週の大幅買い越しから(ゴールドマンを除き)売り越しに転じている。
今後は、国内個人の先物手口動向を注視していく局面と見ている。
有名な相場格言に「国策に売りなし」があるが、今回の国策は「売り推奨」であり、今は「国策に従え」であろう。
(ただ、今後、現物・先物ともに海外勢の買い・国内勢の売りが続いた場合は上振れへの注意が必要であり、手口への注視が必要となる)
チャートから探る下値目途
日経平均の日足MACDは直近でシグナル線に対して急角度でデッドクロスとなっており、調整相場の入り口に入っていると見ている。
また、日々お伝えしているとおり、騰落レシオは12/10に124%でピークを打っており、RSI(9)は先週木曜に、RSI(14)は先週金曜にピークを打った可能性が高い。
筆者が現時点で想定している下値目途は昨年10月からの上昇幅に対する38.2%押しが25日線と一致しており、この水準は先週の30年振りの最高値から約2,000円安であることから、第1下値目途として妥当と見ている。※第2想定の下値目処あり=後述のサブシナリオ
もう少し、短い時間帯での値動きを予想すれば、下図の60分足チャートに付記した波動を想定しており、目先は30,450円程度の上値があった後、29,400円~29,600円付近まで再度反落し、自律反発後にダメ押しの急落となり、29,000円割れ~28,800円程度で下げ止まると予想している。 ※後述のサブシナリオでは、もう一段の急落を伴う可能性あり。
※下図・想定波動を2/22大引けにてアップデートしました。末尾に添付
ただし、ボーイング777の事故の影響から月曜のダウ平均が下落すれば戻りは限定的となり、次の下落サイクルに向かう可能性がある
下図のボーイング社の週足では上昇5波完了後の調整A波またはB波の途上と思われる。この読み方が正しければ、週足ベースの調整局面であるため、回復までには6週間~8週間を要することになると見ている。
なお、日経平均・TOPIXと同じく、相場の転換点をさぐるためには、8306三菱UFJの日足チャートを点検したい。
価格目処についてはチャートに付記しているとおり、480円~500円程度が修正3波動の下げ止まり位置と見ている。
本格調整入りの想定(サブシナリオ)
一方、日銀ETF買いの縮小や年金基金(GPIF)の利益確定売りが収まらず、海外投資家による追随売り越しが本格化するケースも想定しておく必要がある。
非常事態宣言やコロナ禍で上げてきた日経平均は、近く想定されている緊急事態宣言の解除により本格的な調整入りとなる可能性がある。(売り転換ではなく、あくまで利益確定売り)
この場合には、昨年10月からの上昇幅に対する38.2%押し及び25日線が第1下値目処であったのに対し、サブシナリオでは、昨年10月からの上昇幅に対する50%押し及び52週線まで下値目処が繰り下がる可能性があると見ている。
価格的には下図のとおり日経平均27,000円割れ水準となる。
筆者が日々集計している買い方筆頭のソシエテは昨年の買い越しピーク時には日経先物+TOPIX先物の単純合計で12万枚買い建てていたが、足元では7万枚~8万枚で推移しており、買いの積み上げが緩慢と感じており、本格上昇前には10万枚程度の買い越しとなるのではないか?と見ている。
現時点では第1下値目処の28,000円割れをメインシナリオとして見ているが、今後の展開や先物手口次第ではサブシナリオとなる第2下値目処の27,000円割れもあり得るため、両者を想定しながら、日々、市場が発信するシグナルを見落とさないよう注視したい。
底打ち判断指標はこれ?
なお、筆者想定どおり、今後3月中旬に向けて下落した場合の底打ちをさぐる指標として次の各項目を列挙する。
・日足MACD トリプルボトム ※MACDバラメーターは5-10-5に設定している。
・週足MACD ゼロライン
・騰落レシオ 80%割れ
・RSI(9)(14) 10%台
・投資主体別売買動向における個人信用買いの膨張
・スパン証拠金 日経先物 190万円~200万円接近
・日銀ETF買い 再開・連日買い入れ
・GPIF 買い観測
日柄については、引き続き3月SQ及び3月SQの一週間後~10日後を想定している。
3月SQの一週間後~10日後というのは、3/19が米トリプルウィッチング(メジャーSQ)となっていることから、この日を照準に動く可能性があると見ているからだ。
なお、上記日柄で一番底をつけた後、急騰とならず、4月中旬から始まる今期決算発表及び来期見通しの上振れを待つまで二番底(下練り)さぐりとなる可能性もある。
繰り返しとなるが、この場合、いったん戻りを試した後に再度売られる展開(上述のサブシナリオ)も考えられ、向こう3ヶ月後の想定52週線・27,000円まで下落する可能性も配慮しておきたい。
(また、逆に海外勢買い・国内勢売りが継続した場合、筆者のメインシナリオ29,000円割れに至らずに切り返す可能性も残しており、日々の先物手口を注視されたい)
なお、ここのところ、保ち合いからの急動意が常態となっている。
これまでは上方向への急動意であったが、今後は下方向への急動意となる可能性があることから、先物を手掛けられる方は、SPAN証拠金の引き上げを想定した余裕を持った証拠金の管理を心がけたい。
底打ち後の予想としては、6月・32,000円~33,000円に向けた上昇波動に入ると予想している。
なお、サブシナリオの27,000円割れとなった場合は急反発が生じると予想している。
※21:00追記
ただ、27,000円割れ後に、6月・32,000円~33,000円を実現するためには日足の下ヒゲ大陽線が必要であり、これが示現できない場合は、12月SQまで安値もみ合いが続く可能性が生じると見ている。
※22:40追記
3月期末にかけて弱気に見ているのは、やはり日銀ETF買いの手が緩んでいることが大きい。また、GPIFの米国株・日本株保有比率が買い余力を持つことができる23%中盤まで低下するためには、筆者の試算では12月末の残高から米国株を約7兆円・14%、日本株を3兆円・7%売るか、若しくは評価額が減じる必要が生じる。
ただ、1月以降の信託銀行の売りは約7,000億円程度であることから、3月末までで累計1.2兆円~1.5兆円が目一杯と思われ、残額は評価額の低下によって買い入れ枠が創出されると見ており、ざっくりとした計算で30,000円×93%=27,900円、オーバーシュートで27,000円~27,500円と予想している。
※2/22 18:20追記
昨日、『目先は30,450円程度の上値』と記したとおり、本日の日経平均は30,458円高値示現後に急速に値を消し、30,089円まで下落した。
明日の東京市場休場明けの日経平均が30,300円を超えて推移すれば30,500円~30,600円高値が可能と見ているが、30,300円以下で始まり上値重く推移した場合には、その後30,000円割れで推移すると見ており、後者の確率が高いと予想している。
なお、波動予測を下図のとおりアップデートした。
第1想定は29,200円までの下落後、再度上昇波動に戻るものだが、第2想定としては戻りは29,900円処にとどまり、27,500円まで下落するシナリオとなる。
この波動は日足ベースであり、15分足ベースでは5-3-5波動の上下動を構成すると予想しており、目先の安値は29,740円、29,600円と順次切り下がると見ている。
(ゴールドマンが2/15に建てた大口ショートコール30000は依然として買い戻されていない模様であることも弱気継続の根拠となる)
なお、今後の更新予定については、木曜の投資主体別売買動向の公表を受け、週末の更新を予定している。