国内勢の日本株売り姿勢が鮮明化
昨日・金曜に2月第3週の「投資主体別売買動向」が公表された。
先週の公表時にもお伝えしているとおり、引き続き信託銀行(年金基金の動向が反映されているとされている)、投資信託、個人現金の売り越しが続いており、まさに国内勢により日本株売りとなっている。
特に、信託銀行は6週連続の売り越しとなっており、当該週の売り越し額は1929億円と前週の741億円から拡大しており、2月に入ってからの3週で1月の1ヶ月分に迫る4,000億円を超える日本株を売り越している。
また、個人現金の売り越しは少し減少したものの、2月の3週計で1兆円近くを売り越しており、日経平均の3万円乗せを背景とした利益確定売りを強めている。
投資信託の売り越しについても、2月は1月の3倍を超える売り増加となっており、やはり個人の換金売りのニーズが高いと見られる。
一方で、個人信用が1,300万円を買い越している点が気になる。
個人信用は1月の小幅売り越しから、2月に入って以降、週を追うにしたがって買い姿勢を強めており、日経平均の上昇とともに順張りの買い姿勢となっている。
(ただ、1357等のインパース系のETF買いも買い越しに計上されるため、もしかすると、ベア系の買いかもしれないが・・・)
なお、海外投資家は3週ぶりに売り越しとなり、売越額は382億円と小幅だったものの、先物については1.5兆円近くを売り越し、現物・先物計では1.8兆円を超える売り越しとなっている。
先週も記したとおり、本邦の年金マネーの大口売り越しに加え、個人現金(現物)の売りが本統計により明確になっている中、日銀ETFの買い入れの手も緩まっていることから、海外勢が日本勢の売りを吸収する構図は不健全であることに気づいたのではないか?と見ている。
また、3月期末は保ち合い解消売りや決算対策の売りも出やすい時期であることから、国内勢による売り姿勢が拡大する可能性がある点も、海外投資家によっても利益確定売りに傾きやすい環境となっている。
年金マネーの換金売りはまだ続く?
また、年金基金(GPIF)は今年に入り、2月第3週までの間に約8,500億円を売り越しているが、この流れはさらに続くと筆者は見ている。
これまでも何回か記したように、GPIFの米国株・日本株保有比率は投資総額の各25%(計50%)と規定しており、昨年12月末段階で日米株の保有比率は各25%を超えている。
±8%の調整率を持っているため、各33%までは日米株を保有することが可能となっているが、25%を超える現況にあっては、新たな買い付けは考えにくい。
むしろ利益が出ている株式を売却し、年金財政の健全化を図るとともに、下げたところで新たな買いに向かい年金支出による元本の目減り少しでも抑止するがをGPIFの社会的責任であり、使命であると考える。
日米株の売り需要は5兆円規模か?
GPIFは上述の25%ルールに基づけば、買い余力を作るためには、今後、23%中盤まで持ち高を低下させる必要があると見ている。
筆者の試算では、12月末の残高から米国株を約7兆円・14%、日本株を3兆円・7%売るか、若しくは評価額が減じる必要があると推計される。
ただ、1月以降の信託銀行の売りは約8,500億円程度であることから、3月末までで累計1.5兆円が目一杯と思われ、残額は評価額の低下によって買い入れ枠を創出すると思われ、日本株については、3月末までに約7,500億円の利益確定売りを出すのではないか?と見ている。
日銀が1日700億円のETF買いを行っていた際の10日分である。
同様にして、海外株式(米国株の比重が高い?)も売却せざるを得ず、日米株式の売却総定額は1月~3月で計5兆円程度はあるのではないか?と見ている。
ただ、JPXによる「投資主体別売買動向」の公表にてGPIFによる1月~3月の巨額の売却が明らかになってしまうことを懸念して、売却を4月~5月にかけても分散して行うことも想定される。
このような環境にあっては、ヘッジファンドや大口海外投資家も、売り参戦することが想定され、まさに今春は、株安が世界の潮流になると可能性があると見ている。
なお、GPIFは日米株の保有比率を(自らの売りと株価下落によって)各23%台に落とすことができれば、日米株で各3兆円~4兆円の買い余力を持つことができるため、日柄調整の完了(売り一巡感が出た頃合い)と、総選挙の見通しがつく頃合いが一致すると思われ、その段階で一気に買い進め、次の株高を演出すると予想している。
※18:10追記
3月~4月について上述のとおり弱気に見ているが、ダダ下がりとも思っておらず、上下に値幅が大きい難解な相場になると見ており、追って目先予想を記す予定。