ただ、改めて米国の利下げ観測を受け、為替は108円割れの円高が進み、日銀短観での想定
為替レートを上回って進行していることには警戒が必要である。
また、昨日の記事「長期国債先物急伸が意味することは?」でもお伝えしたが、長期国債先物が前日の高値を更新して引けており、この点も注意を要する。
先物・オプション手口(JPXデータを集計、日中・夜間・立ち会い外を含む)
本日のABNのオプション手口は、コールについては足下の価格から上をショート(空売り)を入れている。特にコール21750については、昨日までのロングポジションから売り越し(ショート)に転換している。一方、22,000円から上のコールについてはボリューム感のあるロングを入れており、
ショートコールに対するヘッジと思われる。
プットサイドについては、日中の取引価格帯で、まとまったロングプットを入れており、ショートコールとの手口と整合しており、ABNの大口投資家は相場の方向性を下に見ていると推測される。
ABNの先物については、-1,449枚売り越し(利益確定)、建玉を6,194枚買い越しに縮小している。
GSは昨日に続き+1,872枚買い越し(買い戻し)、建玉を-6,360枚売り越しに縮小。Cスイスは964枚買い越し(買い戻し)、建玉は-3,101枚売り越し。
野村證券は225を-1,439枚売り越し。ただ、本日の売りは昨日の225買い1,488枚の利益確定と見た方が良いと思われる。野村の本腰は9月限TOPIX売り-106,894枚である。
今後の予想
相場は底値よりも天井の見分けが非常に難しい。日経平均は、昨日、半値戻しの21,320円を上抜き、本日、5/20高値の21,420円、75日線21,432円を上抜き、逆三尊天井を形成、定型的な見方では200日線21,677円、達成後は21,800円~22,000円を目指すと考えられる。
ただし、それは日本株単体で見た場合であり、世界の株式市場の趨勢からは、もしかしたら戻りいっぱいに近づいているかも知れない。
ダウの日足MACDは-210で底打ちから反転に向かい、昨日現在+200まで上昇している。一般的なシンメトリカルの波動であれば、あと一息で目先の天井を打つことになる。
DAX指数の日足MACDも同様に戻りいっぱいまで上昇しており、株価も先の高値にほぼ到達している。
ダウやDAX等の世界の株式市場がエクステンション波動を生じさせ、上値を抜いてさらに一段高となれば日経平均も21,800円を超えると思われるが、ダウと日経平均の絶対値が-5000ポイント以上引き離されていることを考慮した場合、残念ながら世界の「全値戻し」は日経平均の「半値戻し」に
満たないと思われる。
米国市場は今週末にメジャーSQを迎えるため、週内に大きく下がることは考えにくいが、一昨日の習近平主席とのG20での米中首脳会談開催ツイートのタイミングから見て、足下の株高は昨日のトランプ大統領の出馬に当てて仕組まれたものではないかと推測する。
ドル円の動きを見る限り、今夏の109円台復帰の材料は乏しく、長期国債先物の上昇が続くとすれば、早ければ来週の初め、長ければG20頃までは日経平均の高値が保たれる可能性があるが、セルインメイは生きており、現時点では、ここから9月中旬までは上値が抑制される難しい相場が続くと見ている。
なお、メインシナリオは来週半ばまでは(中東リスク等の外部環境が悪化しない限り)天井圏特有のもみ合と想定しており、ここからの投資判断は、楽観の買い乗せよりも、利が乗った指数の売り上がりと考えている。
※22:13追記
特に今回のような急騰場面の天井は難しい。通常、信用倍率の低下は貸残増加・融資残減少で生じるが、本日の1570日経レバは融資残が増加しており、明日の日経平均は寄り天の可能性も考慮する必要がありそう。
