2019-09-05

日経平均急騰で「エレベーター相場」はまだ続く※2追記あり(9/5)

日経平均の上値目処は20,900円と予想してきたが、本日、一気に超えて21,164円高値示現、終値は436円高・21,085円と筆者予想を大きく超えた。

日経先物分足を見ると、9:00の寄り付きでギャップアップスタートを支援する大陽線が立っており、(先物か現物かは定かではないが)上方向に行かせたい大きな力が加わったことを示している。

ただ、本日の出来高自体は13.4億株と10億株台に慣れた目には多く映るが、絶対的には凡庸に少なく、しかも大引け前の15分間で(検証は不可能だが、おそらくラスト1分の大引けで)3億株近くの売買が40円近くの売りで成立している。

しかし、これで9月末までの2万円割れといった政府にとっての最悪の事態は防げたのではないか。


先物・オプション手口(JPXデータを集計、日中・夜間・立ち会い外を含む)


 データの集計方法 → こちら
一時500円を超える大幅上昇の中で先物・オプション勢がどのように動いたか、その手口から検証する。

ABNのオプション手口で目に付くのは、21,000円に建てていた1,436枚の大口ロングプットを返済し中立に戻していることだ。どのように決済したのか見てみると、立会外にて1,400枚をUBSに渡している。

ただ、同一価格である21,000円のショートコールについては引き続き大口ショートを維持しており、明日以降、21,000円前後のオプションをどのように玉操作してくるか注目である。

なお、コールサイドでは21,500円に大口のロングを建てている一方で、20,625円から下の複数の価格帯のプットオプションにまとまったロングを建てており、来週の前半はどちらかの方向に揺れて戻す荒れる展開も想定される。

先物については以下の表のとおりである。

ABNアムロが先物を大きく売り越してきた点は注目である。特に来週にSQを迎える9月限を-13,170枚売り越してきた点はプットオプションのロングとともに要警戒と見ている。

なお、昨日まで売り越していたCスイスが本日一気に8,796枚を買い越しプラ転している。Cスイスが相場追従型であり、上昇幅からみれば相応かもしれない。

買いを積んできたソシエテは小幅に利益確定している。

今後の日経平均予想

昨日までは想定していなかった500円を超える上昇幅の大きさには正直驚いたが、まさに「エレベーター相場」と言われる所以であり、相変わらず難しい相場が続くと嘆息している。

昨日、記事にはしなかったが騰落レシオが78.67%と80%を割ったため、東証一部全体では売られすぎ感があるとは感じていた。

一方、9日RSIは本日62.68%と中立からやや買われすぎに移行しており、明日の日経平均が本日と同一であっても90%台と買われすぎ圏に突入する。

言うまでもなく弱い銘柄が徹底的に弱く、225型が強いためであり、市場はまだ当分は指数先行で動いていくと思われることから目先はRSIや移動平均線からの乖離率などの需給先行で動くだろう。

本日、大きく上昇したが、本格的に上昇していくための需給整理は依然として途上にあると見ていることから、上げだ分だけ、さらに調整期間が必要となった可能性がある。

需給を超えて業績で買うためには、7月~9月期の決算が出る11月半ばまで待つ必要があると見ており、日経平均は海外発の材料に一喜一憂する方向感の乏しい展開が続く可能性があり、当面、エレベーター相場が続くと見ている。

レンジについては、SQの方向性が読めないため大雑把になるが20,200円~21,200円台のレンジと見ている。SQで大きく動いたならば、その方向にレンジが移動するだろう。

※23:05追記
初動のダウ平均は420ドル高・26,775ドルとADP雇用統計の堅調さやアジア・欧州市場の株高(仏を除く)を受けて大幅高で推移している。430ドル高での25日線乖離率は+2.51%、日経平均の+2.51%乖離率は80円高(21,165円)で達成となり、足下の日経先物も21,210円とほぼ推計どおり推移している。つまり、ダウの足下の上昇についてはほぼ織り込んでいることになり、現時点での420ドル高の差額分と日本時間でのダウ先物の上昇分が明日の日経平均(日経先物)の実質的な上昇幅となる。


明日の雇用統計については、これだけダウが上がってくると、やや弱めの市場予想よりもさらに弱めとなれば失望売り、良好な数字となっても織込済みとなり、50bpの利下げが遠のくことから利益確定売りの材料になる可能性がある

※23:30追記
日経レバの日証金速報では、新規融資ゼロに対し、新規貸株25,829株と新規が残高の17%を占めている。出来高の膨らみから考えて、証券会社内で融通した新規貸株数が相当あると思われ、後場に日経平均が上昇するとしても、株高を見込んだ買いではなく貸株の買い戻しの可能性があるため留意したい。また、空売り比率の「価格規制なし」も高かった。
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