昨日、米国が北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、初めて安保理に会合を要請したとの報道があった。
米国も北朝鮮の強硬路線への転換をやっかいに感じている模様である。
また、今月下旬には北朝鮮が朝鮮労働党総会を開き重大な問題を討議決定すると伝えられている。
北朝鮮の背後には中国が潜んでいることは明白であり、このような中では米国の対中政策も緩和的にならざるを得ない。
したがって、米中協議が第一段階の合意に至るかどうかはわからないが、少なくとも対中関税の発動については先送りし、中国が体面を保つことになると見ている。
ただし、北朝鮮が一方的に期限と定めた12/31までに米国が譲歩姿勢を示すとは思えず、年始には金委員長が予告した日本上空を飛び越える人工衛星に模したICBMの発射が行われる可能性が高い。
かくして、2020年の幕開けは朝鮮半島の地政学リスクで始まるのではないかと見ている。
朝鮮半島リスクは安倍政権の援軍か?
金融市場も売り方の逆襲により短期的な下押し局面になると思われるが、米国市場も一服がほしい局面であり、悲壮感なき下落になると見ている。
安倍政権にとっても朝鮮半島情勢の緊迫化は、「桜を見る会」の追求から世間の目を逸らす絶好の機会であり、憲法改正(自衛隊の憲法への明記)の機運を高めることにもつながるチャンスになり得る要素である。
今後の日経平均のイメージとしては、上記想定どおり米中協議の部分合意または先送りとなれば、いったんは売り方の買い戻しにより23,500円~23,600円を達成し、23,630円を超えれば23,800円~24,000円が見えると思われる。
ただし、日柄としては米国のSQが12/20(金)であることから、12/23(月)~12/24(火)までは高値を保つと思われるが、それ以降は年末リスクから利益確定売りが嵩んでくると見ている。
先物・オプション手口(JPXデータを集計、日中・夜間・立ち会い外を含む)
(1)ABNアムロのオプション手口と残高
データの集計方法の詳細 → こちら
コールオプションについては足元の価格帯を利益確定する一方で、取引価格が低額な少し上の価格帯を買い越し。
プットオプションについては、本日の下落により利が乗った足元の価格帯に利益確定売りを出している。
取引価格で見た場合には、全体的にやや売りに傾いている。
ただ、建玉残ではABNの大口投資家はSQ値を22,250円超で通過したいと考えていると思われる。
(2)先物手口及び建玉残
筆者が観測している外資系証券と野村證券の本日の先物手口と建玉残は以下のとおり。
ゴールドマンが3日連続で大幅売り越しとなっており、かなり確信的な売りに見える。
野村證券は本日も期先へのローリングを行っており、12月限の建て玉は-1万枚の売り越しと9割近くを3月限に振り替えている。
一方、買い方であるソシエテは12月限を7.2万枚残しており、現時点での期先へのローリングの進捗率は4割程度とあまり進んでいない。
期先へのローリングは自らが売りと買いの注文を出せば成立するため、明日の最終取引日でも可能であるが、仮にソシエテが相当枚数をSQ決済に回すようであれば、SQ通過が売り転換となる可能性があるため、明日の手口に注目している。