2021-10-07

相場雑感・今後の日経平均予想(10/7)

※10/4より随時更新(不定期更新)。詳細は → こちら



昨夜・10/6の時間外に日経先物が26,980円安値・27,000円割れとなった。日柄は早くなったものの筆者想定どおりの展開である。

これで直近の高値から約2週間で日経平均は3,400円の急落となった。

雑感程度であるが、急落の要因と今後の見通しについて、思うところを記していきたい。


まずは本日の相場概況は以下のとおり。

 日経平均  27678.21 +149.34
  TOPIX   1939.62 -2.29
  出来高   13.3億株 
  売買代金  2.94兆円 

  
・RSI (9) 日経平均 5.20
           TOPIX    0.00
・RSI(14) 日経平均 19.88
          TOPIX    21.10 

・騰落レシオ   98.71


RSIは過熱感が薄れ、売られ過ぎ圏に達しているものの、騰落レシオが依然として中立圏に位置しており、目先反発はあっても持続的な短期反発にはもうしばらくの整理が必要と見ている。

なお、足元の流れが継続した場合、騰落レシオ80%~70%は10/19~10/26。



先物・オプション手口集計・考察

  データの集計方法の詳細 → こちら


・ゴールドマン・ソシエテは買い戻し。

・Cスイスは小幅売り越し。

・ABNアムロの売り越しが目立っているが、一昨日の大口の押し目買いの利益確定売りか?



なお、野村は2,027枚の大口買い戻してなっており、売り建玉は9月初旬の9万枚超の売り越しから3分の1の約3.3万枚まで縮小しており、買戻し一巡となってもおかしくない。

・上記以外の主な外資系先物参加者は次のとおり。

・バークレイズに次ぐ買い筆頭のJPモルガンは-2,420枚の大口売り越しと利益確定売り。

・他の投資主体は売り越し組に売りが目立っている。


・ABNアムロのオプション手口

コール売り・プット買いが目立つ。





急落の要因と今後の日経平均の見通し

・日経平均の3,000円を超える急落の初動ではゴールドマン・Cスイスが先物に売りを入れていたものの、急落過程にあっては売り乗せは観測されず、むしろ利益確定の買い戻しとなっている。

・また、売り筆頭の野村は、今回の急落により売り建玉の買戻しを進め、売り建玉を3分の1まで縮小している。ただ、足元では依然として3.3枚の売りを保有していることから、むしろここからは売り乗せてくる可能性が高いと見ている。

・これらのことから、直近の急落は先物勢による売り仕掛けと言うよりは、世界的な半導体不足や東南アジアの新型コロナウイルス感染再拡大の二重苦の影響を受けているアジア圏・景況感の悪化に振り回されたものと見ている。

・ただ、留意すべきは、かかる東南アジアが受けた新型コロナウイルス感染再拡大の影響の二重苦は日本にとっても大きく、実際、日経平均が30,500円に乗せていた9/15の日経平均EPSは2,177円から昨日の2,027円と150円の低下となっている。

・直近、日経平均PERは14倍で推移していたことから、150円×14倍=2,100円が失われており、先行きの不透明感と合わせて3,000円の下落はファンダメンタルズの低下が要因であるとの解釈も可能となる。

・今後、ファンダメンタルズの低下が起きているかどうかについての指標として注目すべきはトヨタ自動車の減産がどう推移するかであると見ている。

・トヨタは、9月・10月の国内工場の稼働の約半数を稼働停止する生産調整を行っている。下表は高岡工場の休止計画となる。(一見、少ないように見えるが、土日は休止のため、9月はほとんど、10月は実質、月・火・水の週3日稼働にとどまっている)



・昨年秋に販売開始した人気車種「ヤリスクロス」の工場出荷はバックオーダーの多さから半年待ちが続いていたものの、1年を経て4ヶ月まで縮小となったが、現在は6ヶ月~7ヶ月に再度延びてしまった、

・また、稼ぎ頭のハリアーハイブリッドについては2022年6月下旬以降の納期(工場出荷)は8ヶ月となっている。(レクサスも言うに及ばす)



・直近のトヨタからのアナウンスでは、11月には国内生産計画は高水準で挽回されるとの見通しが示され、通期業績は据え置かれているが、仮に、11月も相当分の生産調整が行われることととなった場合には、通期業績の下方修正が必至となることから、トヨタの生産調整関連のアナウンスには注意が必要である。(おそらく、今月中旬には11月の生産見通しが示されるものと見ている)

・なお、昨日、信用残の公表となったが、今年2月の高値圏での信用買い残は日柄調整によっていったん整理されたものの、直近の急落によって再度買い残が積み上がり、再び3.5兆円に達しており、上値の圧迫要因に加え、海外勢の狙い所にもなり得る可能性がある。



・価格的には、昨夜の先物安値・27,000円割れで一段落ついたと思われるが、本日の上昇により昨夜の安値から1,000円高となっており、需給の乱れによる乱高下の要因にもなり得ると見ている。

・チャートテクニカルからの目先の下値目処については、下図の日経平均・週足チャートから、27,000円を割れた場合には2月から直近までのもみ合いレンジ下限の26,600円と見ている。(なお、チャートは昨日作成のため、本日の値動きは反映していない)



・ただ、目先の注目点は、週末に記したとおり、今週末の米雇用統計とその後の反応に変わりはないが、直近の決算発表はやや芳しくない傾向にあることがEPSの低下から明らかになっており、ファンダメンタルズの低下が起きている可能性があり、さらなる下値の想定が必要と見ている。

・今後、上述したようにトヨタの減産如何によっては、改めて景気見通しに停滞感が生じる可能性があり、(おそらく今月中旬あたりに工場の休止スケジュールがアナウンスされると見ており)、その意味でも10月中旬が次の焦点になると予想している。

・単なる筆者の山勘であるが、減産が解消されるほど東南アジアが回復するとは思えない(香港ハンセン指数の暴落が示唆)

・(トヨタの減産が景気停滞をもたらすというのではなく、象徴的な出来事として受け止められる)

・なお、ファンダメンタルズの低下が起きている場合には、アノマリーとなっている衆議院選挙公示日(10月中旬)~投開票日の上伸は起こらず、当開票日に向けてショック安的に下落する可能性があると見ており、値ごろ的には25,600円~26,000円の下値が想定される。

・(25,600円の想定値については、日経平均EPS ・1,900円程度×13.5倍=25,650円と予想)

・トヨタの減産が比較的軽度であった場合の下値目処は、上述の週足チャートのレンジ下限・26,200円~26,600円(EPS・1,900円×13.5倍=26,600円と一致)と見ている。


※10/8 - 21:50追記
注目の米雇用統計は、雇用者数変化(前月比)市場予想下振れの15.71万人と冴えない結果となったが、9月失業率は低下、9月平均時給(前月比)は増加となっており、コンセンサスを下回ったことへの極端な失望は起きにくいと見ている。

なお、本日の東京市場の先物手口は以下のとおり。



上段の取引主体では売りが目立つものの、下段の取引主体ではまとまった買いも見られ、全体的には売り買い交錯となっており、目先は直近の上昇モメンタムを継続しやすいと見られる。

ただ、高値では売り仕込みが行われると見ており、上昇持続力は乏しく、もみ合い相当と予想している。 なお、雇用統計を見ての感想としては、短期弱気予想に変わりはない。

スポンサーリンク